東京農業歴史めぐり
葛西蓮根
かつてこの地帯は、お盆の頃となると見渡す限りの蓮の葉に覆われるほど、蓮根栽培が盛んで、「葛西蓮根」の名は関西や東北市場にまで知れわたり、当神社が建っている大字長島はその中心地でした。
当地の蓮根は、江戸中期からわずかに作られていたようですが、明治中頃に田中徳右衛門が優良系統の試作に成功して以来、稲作より蓮根のほうが各段に儲かるとあって、栽培が急速に広まり、昭和40年代まで営々と続いてきました。
当地は江戸川や荒川が運んできた肥えた土と、深い田が多く、しかも、大都市に近いため、肥料として東京市中からでる下肥が入手しやすかった。このように肥料を大量に必要とする蓮根栽培にぴったりでした。まさに都市と農村を結ぶ見事なリサイクルであったわけです。
柔らかくて歯切れのよい葛西蓮根独特の風味は、見通しがきく縁起物ということもあって、市民に長く愛好されてきました。
香取神社
江戸川区東葛西2-34-20
(地下鉄東西線葛西駅17分)
TEL:03-3680-2070