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TOKYO農業体験 農園めぐり

TOKYO農業体験 農園めぐり

農家の指導を受けながら野菜作りを体験できる、「農業体験農園」が東京都内に広がっています。栽培の楽しみや苦労、収穫の喜びなどが気軽に体験できるとあって消費者に好評です。Aグループで発行している「とうきょう農紀行」では2年間かけて、8カ所の体験農園を取材しました。ここではその様子を紹介します。本文は農紀行発行時の状況です。

農業体験農園って何?

農業体験農園は、1996年に東京都練馬区で誕生しました。農業についての技術指導がない市民農園とは違い、体験農園は農地を所有する農家が作付け計画を立て、その指導に沿って種まきから収穫までを体験できます。もちろん収穫した野菜は、利用者が持ち帰ることができます。

現在、東京都内に50カ所あり、園主らが集まって東京都農業体験農園園主会(事務局=東京都農業会議)を設けています。農業体験農園についての問い合わせは、園主会、電子メール(enshu@tokaigi.com)へ。

01 大泉 風のがっこう 練馬区大泉町

農紀行13号(H21.4.20発行)

指導を受けながら田植えをする子どもたち

白石さんが種苗や農業資材などを準備し、農業経験のない都市の人たちも、白石さんが立てた作付け計画をもとに作業することで、耕作する楽しさや収穫の喜びを味わうことができます。

市民農園とは違い、受講料はかかりますが、農家の講習を受けて栽培するため、たくさんの見事な野菜が収穫できると好評です。ファンを増やし、区内や都内に農業体験農園を増やすきっかけとなっています。

シーン01 1年間に16回
農園入口のシンボル
農園入口のシンボル

大泉風のがっこうでは、3月から1年間で16回の講習があります。今シーズン1回目の講習は、3月13~15日の3日間で計4回開かれ、利用者は都合に合わせて参加できます。30平方メートルの区画が125区画あり、1区画ごとに家族やグループに貸し出しています。

同園は都内で2番目に開設して13年目を迎えました。ベテランの利用者が多いのも特徴で、指導役として頼りになる存在です。「周りにいる手際のよい人はベテランの方です。分からないところは、教えてもらってください」と白石さん。利用者同士の交流も、体験農園の楽しみの一つです。

シーン02 種から説明
葉物野菜の種について解説
葉物野菜の種について解説

シーズン最初の講習は、ジャガイモの植え付けと小松菜など葉物類の種まきです。はじめに、白石さんが1年間の流れを説明して講習に入ります。50人ほどの参加者の中には、今シーズンから参加する人もいるため、基礎から指導してくれます。

ジャガイモは、種芋の切り方から手ほどきします。「種芋にはへそがあります。親芋につながっていた部分で、切り分けるときに、へそを含めるようにして切ってください」と、実演を交えながら解説します。

葉物類は、小松菜や水菜、ホウレンソウなどの種まきについて説明。講習前に利用者に配った種を手に取って、その作物の特徴などを説明していきます。

シーン03 畑で実践指導
くわの使い方から畑で実践指導
くわの使い方から畑で実践指導

これから栽培する作物は、白石さんが作った春作の予定表を参考に作業を進めます。区画内のどの位置にどの作物を植え付けるのか指示されており、利用者は予定表に書かれた図面を見ながら作業します。

ひと通り、作業の流れを説明した後で、白石さんが区画に立ち、実践指導に移ります。ジャガイモの植え付けでは、くわの使い方からやさしく指導します。深さ20センチほどに掘って肥料をまき、いったん埋め戻してから、種芋を植え付けます。「肥料に直接、種芋が触れると、芋がやけてしまうので気を付けてください」と、具体的なアドバイスを織り交ぜます。

講習は通常40分程度ですが、今回は最初の講習のため、1時間程度かかりました。利用者はこの後、自らの区画で挑戦しました。

シーン04 初めての利用者も期待
葉物野菜の種について解説
葉物野菜の種について解説

参加者全員に説明した後で、初めて参加した人たちには、再度説明する細やかな気配りも欠かせません。今シーズンから参加した丸澤健一朗さん(36)は「子どもが外で活動する機会をつくりたかった。野菜嫌いの子どもも、自分が作った野菜なら食べてくれるかも」と、家族で作業を楽しんでいました。

白石さんが会長を務める練馬区農業体験農園園主会が、JA全中とNHKが主催する日本農業賞集団組織の部の大賞を受賞しました。白石さんは「農業について正しい理解をしてもらうには、時間がかかっても体験してもらうことが一番」と畑での交流を大切にしています。

02 滝山農業塾 東久留米市

農紀行14号(H21.7.20発行)

榎本喜代治さんと妻の佳子さん
榎本喜代治さんと妻の佳子さん

滝山農業塾は、園主の榎本喜代治さん(60)が2004年に開設しました。利用者に1区画を割り当てて作業してもらう体験農園とは違い、みんなが共同で作業するスタイルが特徴です。

大きな畑で苗の植え付けから収穫まで、一緒になって汗をかき、収穫物も山分け、自然と連帯感が生まれます。

シーン01 作業はみんなで
旬を迎えるトマトの作業が忙しくなります
旬を迎えるトマトの作業が忙しくなります

農業塾は、榎本さんの農地のうち10を利用しています。今年は29人が登録。毎週水曜日と土曜日に開いています。平日に仕事がある人は土曜日に参加し、それ以外の人が水曜日に集まるようです。

共同作業がこの体験農園の特徴。トラクターなど農機を使った事前準備は園主の仕事ですが、種まき・植え付け、栽培管理は、その日に集まった塾生が協力しながら進めます。

シーン02 実地指導にこだわり
作業をしながら、榎本さんが的確なアドバイスをしてくれます
作業をしながら、榎本さんが的確なアドバイスをしてくれます

「あっちが主軸だから、この枝は切らないと上に伸びないよ」。榎本さんがキュウリの仕立て方を指導します。前日の雨で畑がぬかるみ、この日も小雨がぱらつく中、キュウリの収穫だけでもと、塾生が集まりました。収穫を終えた塾生に、仕立てのまずさが気になった榎本さんから指導が入ります。

「学校の授業のような講習をするよりも、普段の農業の姿を見てほしい」と榎本さん。一緒に作業をしながら実地指導にこだわっています。

シーン03 世話役がサポート
塾生でもある金子さん(左)が運営をサポートしています
塾生でもある金子さん(左)が運営をサポートしています

毎週の作業内容は、利用者でもある世話役の金子操さん(71)が榎本さんと相談して決め、塾生にメールやファクスで配信します。金子さんは農業塾のスタート当初からの塾生です。初めは未経験での農作業でしたが、今ではさまざまな局面で農業塾の運営をサポートしています。

榎本さんは農業塾を始める前から、地元小学校で子どもたちに野菜作りを指導してきました。学校へ出向いたり、子どもたちを畑に招いたり、農家の仕事を教えています。こうした活動も、今では農業塾に通うベテラン塾生が先生役を担うこともあります。

シーン04 収穫物は山分け
収穫した野菜をみんなで分けるのも楽しみです
収穫した野菜をみんなで分けるのも楽しみです

収穫したキュウリは、参加者の人数ごとにござの上に並べて山分け、収穫の喜びをみんなで分かち合います。夏にはジャガイモ、冬にはサトイモの収穫祭を開きます。塾生の家族も参加する交流も楽しみの一つです。

年2回開く勉強会・反省会では、種苗会社に見学に出掛けるなど、畑以外での学習機会を設けています。勉強会や反省会で、塾生から次はこんな野菜を作りたいという提案を受けて、次回の栽培品目に取り入れることも。園主と塾生が一緒になって、農業塾をつくり上げています。

03 長彦園 稲城市

農紀行15号(H21.10.20発行)

都内初の果樹の体験農園
園主の篠崎益朗さん
園主の篠崎益朗さん

稲城市の果樹農家、篠崎益朗さん(52)は2008年4月に、都内で初めてブドウの農業体験農園を開設しました。果樹栽培が盛んな同市ならではの農園です。剪定(せんてい)から房作り、収穫までブドウ栽培の一連の作業を体験できます。収穫だけを楽しむ観光農園とは違い、長い年月をかけて育て上げる果樹栽培の奥深さに触れることができます。

シーン01 珍しいブドウ作りを体験
ブドウの体験農園は都内でここだけ
ブドウの体験農園は都内でここだけ

ブドウのほか、梨や柿、キウイフルーツを生産し、消費者へ直売する長彦園。「忙しい収穫期の作業を、農業に興味のある消費者に手伝ってもらえないか」と、体験農園を農業経営に取り入れました。ブドウを選んだのは、ほかの品目に比べ収穫適期が長いため。受講者のほとんどが週末の作業を望むため、梨や桃では熟期を逃してしまう可能性があるからです。

シーン02 専門技術も手ほどき
果実の色付き具合から、収穫のタイミングを指導します
果実の色付き具合から、収穫のタイミングを指導します

講習は2月から全12回。剪定、結果母枝の誘因作業、種なしブドウを作るジベレリン処理も経験します。病害虫予防のための袋かけをして、着色が進んだものを8月下旬から収穫できます。

料金は1区画(4坪)が2万5000円。区画内の管理を任され、地元特産のブドウ「高尾」約30房(1房500グラム程度)を収穫できます。今年は、地元に住む消費者ら8人が参加。また、希望者は別料金で野菜栽培も体験できます。

シーン03 収穫が何よりの喜び
大きく実ったブドウに、受講者は自然と笑顔になります
大きく実ったブドウに、受講者は自然と笑顔になります

シーズン最後の講習は、篠崎さんが収穫時の注意点をアドバイスします。色付きが悪いものは、光が入るように上にある葉を取るなどの対処法を指導します。 受講者の好みに合わせて収穫できるのが、体験農園の魅力の一つ。篠崎さんは「一粒つまんでみておいしいと感じた時が、あなたにとってのブドウの収穫適期ですよ」と声を掛けます。

シーン04 栽培の苦労も実感
栽培体験を通じた受講者同士の交流も楽しみです
栽培体験を通じた受講者同士の交流も楽しみです

昨年に続き参加した平林司光さん(46)・真由美さん(42)夫妻は、それぞれの実家に送ろうと収穫しました。昨年は作業の様子を写真集にしてブドウと一緒に送り、好評だったそうです。「炎天下の中、ずっと上を見上げながらの作業はきつい。こんなに手がかかるとは思ってもいなかった」と苦労を実感しながらも、「また来年も続けたい」と意欲を燃やしていました。

04 羽根木体験農園 世田谷区

農紀行16号(H22.1.20発行)

園主の山田元春さんと妻・佐喜子さん
園主の山田元春さんと妻・佐喜子さん

世田谷区にある羽根木体験農園は、2005年に同区で初めてできた農業体験農園です。都心に近く小規模ながら、園主の山田元春さん(73)がこまやかな気配りで、利用者の野菜づくりをサポートします。

秋の収穫時期には、農園で取れたサトイモで作る芋煮鍋を利用者が囲みます。1年の反省を語りながら、収穫を祝うイベントとして定着しています。

シーン01 小規模だからこそ丁寧な指導
ブドウの体験農園は都内でここだけ
ブドウの体験農園は都内でここだけ
園主の指導のもとで栽培し、収穫はそれぞれのタイミングで
園主の指導のもとで栽培し、収穫はそれぞれのタイミングで

世田谷区羽根木公園に隣接した、住宅街の一画に6アールほどの小さな体験農園があります。全体で13区画(1区画30平方メートル)しかなく、農地が限られた都心ならではの農園です。しかし、この広さが、園主・山田さんにとって「目の行き届く広さ」です。利用者ごとに作業の進ちょく状況を把握でき、作物の生育に合わせて丁寧なアドバイスができるといいます。

シーン02 年間30品ほどを栽培
的確なアドバイスで利用者を手助けする住友さん(左)
的確なアドバイスで利用者を手助けする住友さん(左)

講習は春作4回、秋作4回の計8回。ジャガイモやトマト、ダイコン、ハクサイなど、年間を通して30品ほどの野菜を作ります。

園主の山田さんは以前、一人で畑を耕し、庭先で野菜を販売してきましたが、人手が足りず体験農園へ転換しました。開園を手助けしたのが、当時JA職員だった住友米一さん(62)。現在も利用者への栽培指導など、運営をサポートしています。

シーン03 農園のサトイモで芋煮鍋を準備
山田さん(左)と一緒にサトイモを収穫
山田さん(左)と一緒にサトイモを収穫

この日は、年に1度、利用者が集まって交流する収穫祭。畑で栽培したサトイモをその場で掘り起こし、利用者みんなで芋煮鍋の下ごしらえ。開園以来ほぼ同じメンバーが受講しており、息の合った仲間が協力しながら準備を進めます。

「ここに来るまで、まったく知らない人たちだったけど、農作業以外の交流も楽しみ」「体験農園がなければ、夫婦で一緒に農作業することなんてなかった」など、体験農園の楽しみ方は利用者それぞれです。

シーン04 収穫を喜び、1年をねぎらう
農園で取れたサトイモの芋煮鍋は格別です
農園で取れたサトイモの芋煮鍋は格別です
利用者の家族も参加したにぎやかな収穫祭
利用者の家族も参加したにぎやかな収穫祭

「ちょっと悪いことがあっても天気のせいにして、また来年頑張りましょう」。山田さんのあいさつで、収穫祭が始まります。芋煮鍋とお酒を味わいながら、みんなで1年間を振り返ります。

山田さんは「皆さんとのコミュニケーションも楽しみの一つ。こういう機会に、利用者同士で親交を深めてほしい」と語ります。

収穫祭を開いた11月には、畑にはまだたくさんの作物があります。利用者が2月末までに収穫を終え、山田さんは来シーズンに向けた準備に取り掛かります。

05 神明台やさい畑 羽村市

農紀行17号(H22.4.20発行)

園主の大野哲夫さん(左)と泰広さん
園主の大野哲夫さん(左)と泰広さん

東京都羽村市の神明台やさい畑は、郊外の住宅地の一角に広がる、50区画と大規模な農業体験農園です。園主の大野哲夫さん(71)と後継者の泰広さん(41)の、こまやかな気配りと丁寧な指導が好評です。

シーズン初回には、初心者向けの講習を行い、初心者も安心して作業を始められます。

シーン01 西多摩で初めて
農園入口にある看板
農園入口にある看板

神明台やさい畑は2008年に開設しました。当時、西多摩地区で初めてできた体験農園です。以前は同じ場所で市民農園として貸し出していましたが、農家の指導も備えた体験農園として、装いを新たにしました。大野さんは古くは酪農や養蚕を営んできましたが、野菜作りは自家用が中心でした。先生役をこなすため、あらためて野菜作りを勉強し直したといいます。

シーン02 黄色いロープが目印
作業の目印となるロープを張る大野さん
作業の目印となるロープを張る大野さん

作業が始まる前の畑一面に張り巡らされた、黄色いロープが目に付きます。1区画(3メートル×10メートル)の中で、品目ごとの植え付け位置を分かりやすくするための目印です。「こうしておくと、作業する場所が分かりやすく、作物が育ったときの見た目にもきれいなんだよ」と、大野さんの利用者への気配りです。

シーン03 春作の講習会がスタート
春作の作業内容を説明する大野泰広さん
春作の作業内容を説明する大野泰広さん
初心者には丁寧に指導
初心者には丁寧に指導

今シーズンは、3月27日に開講しました。ジャガイモの植え付け、小松菜やカブの種まきが最初の作業メニューです。開設当初から参加する利用者は、簡単な説明を受けたら早速作業に取り掛かります。一方で、8組の人たちは今回が初めての参加。初心者向けに、くわの使い方やマルチの敷き方など、一つ一つ丁寧に説明していきます。大野さんは「分からないことがあったら、何でも聞いて。知識を得ることがいい野菜を作るポイント」と優しく声を掛けます。

シーン04 初心者も大満足
作業に苦労している利用者を見つけては、的確なアドバイスをする大野さん
作業に苦労している利用者を見つけては、的確なアドバイスをする大野さん
作業に苦労している利用者を見つけては、的確なアドバイスをする大野さん

「自分でやってみて、こんなに大変なのかと実感している」と話すのは、初めて参加した西村要子さん(36)。小松菜やカブ用にマルチ敷きと種まきに悪戦苦闘していると、大野さんがその姿を見つけ、手ほどきしていました。

初めての作業に戸惑いながらも西村さんは「次は子どもを連れてきたい。農業を体験させることで、自分が自然の中で生きていることを実感させたい」と、次回を心待ちにしていました。

06 伊藤農園 昭島市

農紀行18号(H22.7.20発行)

園主の伊藤正人さん
園主の伊藤正人さん

東京都昭島市の伊藤農園は、利用者みんなで種をまき、栽培管理する共同作業型の体験農園です。

多くの体験農園は、利用者ごとに割り当てた区画で、それぞれに作物を育ててもらうスタイルですが、ここでは、野菜の収穫期までみんなで育て、収穫は利用者ごとに範囲を決めて自由に持ち帰ってもらいます。

園主の伊藤正人さん(43)の指導のもと、みんなで一緒に育てることで、品質のそろった野菜が手に入ると好評です。

シーン01 毎週3回の講習会
園主のあいさつで講習がスタートします
園主のあいさつで講習がスタートします

初夏の日差しに汗ばむ6月初旬。この日の作業は、5月に定植したトマトの誘引です。伊藤さんが手順を説明し、みんなで取り掛かります。

講習は午前9時から。3月から翌年2月まで毎週3回、水・土・日曜日に開いています。開催回数が多いのも特徴で、利用者は都合に合わせて参加できます。受講料は年間3万円。春作と秋作合わせて20~30品目の野菜を作ります。今年は46人が受講しています。

農園は、伊藤さんの父親が2000年に開設。父親の他界を機に、07年から伊藤さんが引き継ぎました。以来、ベテラン利用者の小野盛男さん(73)と久木弥兵衛さん(67)がスタッフとして加わり、作付計画づくりなど農園運営をサポートしています。

シーン02 共同作業でおいしい野菜
みんなで協力しながらの作業も楽しみの一つ
みんなで協力しながらの作業も楽しみの一つ

この農園の特徴は、みんなで作業すること。園主やベテラン利用者に技術を教えてもらえるだけでなく、利用者同士のにぎやかな交流も魅力です。また、開催日に参加できなくても、仲間の利用者が野菜の栽培管理をしてくれるため、手入れのタイミングを逃すことがありません。

「体験農園といっても、利用者が求めているのは、やっぱり品質が良くおいしい野菜」とスタッフの久木さん。みんなで作るからこそ品質の良い野菜を手に入れることができる、この共同作業型の利点を強調します。

シーン03 初心者にもみんなで指導
園主の伊藤さん(左端)と小野さん(右端)が作業をサポートしてくれます
園主の伊藤さん(左端)と小野さん(右端)が作業をサポートしてくれます

体験を始めて2年目の磯村重信さん(72)は、昨年の経験を生かしながら手際良く作業を進めます。以前はベランダ菜園を楽しんでいたという磯村さん。「ここで作ると出来が違う。食べきれない分を近所におすそ分けするのも楽しみ」と話します。

開設初年度からの利用者で、スタッフでもある小野さんは、作業に戸惑う初心者へのアドバイスも的確です。「新しい人が入ってきても、みんなで教えながら一緒に作業していると、1年で技術が身に付く」といいます。

シーン04 体験後の交流も楽しみ
収穫した春ダイコンを手に笑顔の利用者
収穫した春ダイコンを手に笑顔の利用者

収穫期を迎えた春ダイコンの畑は、利用者の名前が書かれた札で仕切られています。札と札の間が、個人に割り当てられた収穫範囲。自由に抜き取って持ち帰ることができます。

体験農園の魅力は、作物の収穫だけではありません。伊藤農園では、収穫祭など利用者同士の交流会を年間5回ほど開いています。6月上旬には春夏作の植え付けを終え、懇親会を開きました。一緒に汗を流した仲間たちと労をねぎらうのも、楽しみの一つです。

園主の伊藤さんは「一人でもくもくと作業するのではなく、楽しい農業を体験してもらいたい」と、こまめに声を掛けながら和気あいあいとした雰囲気づくりを心掛けています。

07 「みのり村」 小平市

農紀行19号(H22.10.20発行)

村長の英雄さん(中央)と妻・陽子さん、長男・誠さん
村長の英雄さん(中央)と妻・陽子さん、長男・誠さん

小平市の体験農園「みのり村」。カッカッと、黒板にチョークで書き付ける音がビニールハウス内に響きます。卓以上ある長机には、真剣な表情で先生の話に耳を傾ける受講生たち。一般的な農園では見慣れない風景です。先生は、みのり村の村長・粕谷英雄さん(59)。学校のような授業を受けてから農作業に取り掛かる、珍しいタイプの体験農園です。

シーン01 “ 学習型”の体験農園
ビニールハウス内は教室です
ビニールハウス内は教室です

粕谷さんは、都内の農業高校の元教師。父親の他界をきっかけに農業を継ぎ、2007年に「学習型体験農園」と自ら呼ぶ、みのり村を開設しました。

「農業を通じて地域のコミュニティを作りたい」と長年の構想を実行に移し、妻と長男、叔父も手伝い、家族で運営しています。

66区画で77人が受講しています。1区画は10平方メートルと小ぶりながら、年間約15品目を栽培し、家族で食べるには十分な量の野菜が収穫できます。費用は年間1人4万円。夫婦での受講は5万1000円です。毎月2、3回の講習があります。

シーン02 まさに畑の教室
教室で教鞭を振るう粕谷さん 受講生も真剣な眼差し
教室で教鞭を振るう粕谷さん
受講生も真剣な眼差し

この日の作業はダイコンの間引き。受講生は、まずハウス内で授業を受け、その後、自分の区画で作業に取り掛かります。

間引きをするにも、芽が出ていない受講生もいます。粕谷さんは「芽が出ないのは、播種後にかぶせる土が薄かったのか、鎮圧が足りなかったから」と、失敗の理由を的確に説明します。また、間引きの必要性についても、枯れてしまった時の予備としての役割と、小さな苗が群れをなすことで病気や害虫から身を守る効果があると解説。黒板を使いながら理論立てて説明する様子は、学校の授業そのものです。

シーン03 初心者が満足できる授業
園主の伊藤さん(左端)と小野さん(右端)が作業をサポートしてくれます
園主の伊藤さん(左端)と小野さん(右端)が作業をサポートしてくれます

今年の新入生である4期生には、経験者とは別の時間に授業を設けています。栽培品目も違うものを用意するなど、初心者にも満足してもらえる授業を心掛けます。

昨年から通い始めた3期生の井上正敏さん(65)は「農園の横を通り掛かり、見事に育ったトマトやナスを見て自分もやってみたいと思った」と、受講の動機を話します。指導のおかげか、初めての年も立派なトマトが実り、すっかり農業のとりこに。

一方で、農業の難しさも経験できるように工夫しています。「天候を予想して、どういう栽培方法を選択すべきか、実際の農家がするような判断も経験してもらいたい」と粕谷さん。作業手順を教えるだけではなく、しっかりと理論を教える理由です。

 

シーン04 「月間賞」が励みに
仲間の畑を批評し合うのも楽しみです仲間の畑を批評し合うのも楽しみです 管理の優れた畑には、月間賞が贈られます 管理の優れた畑には、月間賞が贈られます

受講生のやる気を引き出す工夫もしています。畑の管理が優れた受講生には、月ごとに「月間賞」を贈ります。一方で、管理が悪い受講生の畑には、支柱にイエローカードを付けて注意を呼び掛けます。

また、収穫祭などのイベント、特別講座として、うどん打ちやジャム作りなどの講習会も設けています。近所に住む杉本稔さん(49)・順子さん(45)夫妻は「特別講座も楽しみの一つ。ここへ通うようになって、近所に知り合いが増えた」と喜びます。

農業を通じて地域のコミュニティを作りたい──。粕谷さんの夢が実現しつつあります。

08 緑と農の体験塾 練馬区

農紀行20号(H23.1.20発行)

加藤義松さん・千鶴子さん夫妻
加藤義松さん・千鶴子さん夫妻

練馬区の「緑と農の体験塾」は、1996年に都内で初めて開設された農業体験農園です。

15年目を迎えた現在も入園希望者が絶えない人気で、同じような農園を開きたいと視察に訪れる人も絶えません。

園主の加藤義松さん(56)は、体験農園を全国に普及させようと活動を続けています。

シーン01 収穫の喜びをみんなで共有
利用者も一緒に収穫祭を準備します
利用者も一緒に収穫祭を準備します

2010年11月3日は、秋の収穫祭。秋作の作付けがひと段落し、利用者の家族ら150が集まりました。園主の加藤さんが「今年は夏場が暑く、秋は雨続きで、野菜作りには難しい年でした。しかし、皆さんの愛情で立派な野菜ができました」と1年間を振り返り、利用者の労をたたえます。訪れた人たちは、加藤さんが作った野菜で作る豚汁や焼き芋、お酒を囲み、野菜作りの楽しみを語りだしたら、話は尽きません。

シーン02 的確な指導が人気
講習だけでなく、畑での的確なアドバイスも魅力
講習だけでなく、畑での的確なアドバイスも魅力

開設当初は78区画(1区画30平方メートル)だった農園は、現在153区画にまで広がりました。区画の利用は1年ごとに更新し、最大5年間継続できます。毎年春には、希望者の抽選が行われ、その倍率は5、6倍の人気ぶりです。

毎年3月に開園し、利用者は10月末まで毎月1、2回の講習を受け、春・秋野菜を20品目以上栽培します。講習では、加藤さんが種まきから栽培管理のポイントをわかりやすく指導。今年初めて受講した岩田茂弘さん(52)も「科学的な説明が多いから納得できる」と、初心者にも優しい指導が好評です。

シーン03 優秀な畑の利用者を表彰
最優秀賞の表彰を受ける水田さん(右)
最優秀賞の表彰を受ける水田さん(右)

収穫祭に合わせ、管理の優れた利用者の表彰もありました。最優秀賞に輝いた水田忠司さん(71)は「通路脇の区画でみんなに見られるから、きれいにしなきゃと手を入れたのが良かったのかな」と謙遜していました。150組を超える大規模な農園。園主はもちろんすべての区画を見て回りますが、隣の区画の利用者がアドバイスしてくれる場面もあります。農園内のご近所付き合いが、栽培技術を切磋琢磨させています。

 

シーン04 農園内での出会いも魅力の1つ
農作業だけではなく、趣味の話でも盛り上がります農作業だけではなく、趣味の話でも盛り上がります

体験農園の楽しみは、農作業だけではありません。150組以上の利用者は、職業や趣味など多彩な人がそろいます。ゴルフや花、囲碁など、同じ趣味を持った人たちの園外での交流も広がっています。15年間続けて参加する斉藤光浩さん(54)は「人との出会いが何よりの喜び」と語ります。農園が生む新たなコミュニティーも、体験農園の魅力の1つです。

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